自転車と暮らすサスティナブルライフを提言するインターカルチャーマガジン

Green MobilityGreen Mobility
pickup

lifestyle_title
 
 健康か健康でないかという線引きは一体、どこにあるのか。人それぞれであるとは思うが、ひとつの指針となるのが病気か否かということになるはずだ。特に歳を重ねていくと生活習慣病にかかりやすくなり、延いては現在の死因の多くを占めるガン、脳卒中、心筋梗塞という三大疾病に繋がる危険性も高く、より深刻になってくる。ところが、この病名がクローズアップされ始めたのはここ数十年の話。以前はほぼなかったものである。
 
 生活習慣病は人間のみがかかる病気であり、原因は肉や炭水化物中心に変化した食生活、運動不足、ストレス、喫煙、電磁波など発達した現代社会が齎した弊害であると言われている。もちろん治療法も年々進化していくが、同時にこれらの病気にかからないようにするには、という部分においても様々な研究が進んでいるようだ。これらの病気はじめ、疲労や老化においても、大本の原因はひとつであるということがわかっている。それが「活性酸素」と呼ばれるもの。つまり活性酸素が抑えられれば、いつまでも健康で若々しい身体でいられるということだ。ではその活性酸素は身体のどこでどのように発生するのか、抑えるにはどうすれば良いのか、一連のメカニズムについて説明しよう。
 
▼全ての運命を握るミトコンドリア
 
lifestyle_01 病気、老化を語る上でまず重要なキーワードとなるのが「ミトコンドリア」である。学生時代に生物の授業で出てきた、この名前を記憶している人は多いはずだ。だがこれが身体のどの部分に存在して、どんな働きを行っているのかまで授業では説明されていなかったような気がする。実際のところ今から10数年前はまだはっきりと解明されておらず、ある意味謎の存在であったようだ。ところが最近、その謎が徐々に明らかにされてきた。
 
 ミトコンドリアは人間の命の源となる、非常に重要な存在であるということが認識されてきたのである。病死がほとんどである現代においては特に、死ぬか生きるか、すべての運命を握っているのはミトコンドリアだと言ってもいい。
 
 ミトコンドリアは我々の身体の中に約60億兆あるといわれる細胞の中にそれぞれ50~500個入っており、細胞全体の10~20%を占めている。主な働きは体を動かしたり基礎代謝を促したりするための、生きていくために最も欠かせないエネルギーであるATP(アデノシン3リン酸)を作ること。ちなみに、我々が呼吸をすることも食事を摂るのも、全てはこのATPを作るための行為なのである。
 
 「中年になると太りやすく、痩せにくくなる」、これは巷で良く言われていれることである。歳をとると代謝が悪くなるから……皆、漠然と納得しているようだが、代謝が悪くなるということは栄養分をエネルギーに作り変える能力が低下するということで、これこそが老化の実態。この能力をミトコンドリアがコントロールしているのである。
 
 誰の身体にも存在するミトコンドリアだが、それが〝活性〟しているかどうかについては人それぞれである。簡単に言うと、活性していなければ病気の根源であり身体にあらゆる害を齎す活性酸素をエネルギーと同時に多く作り出すことになり、活性していればこれを少なくすることになる。つまり活性しているミトコンドリアの量を増やしさえすれば体の機能は向上し病気にもかかりにくくなるし、代謝が活発になるため老化のスピードも緩まることになるのである。
 
▼活性するミトコンドリアを増やすために
 
lifestyle_02 では、活性するミトコンドリアを増やすにはどうすれば良いのだろうか。ミトコンドリアの存在が認知されて以後、ミトコンドリアの中での働きを促すサプリメントや健康食品も多く出回っており、確かに効果が見込めるものではある。だが食生活を改善するなど外部からの補給に委ねる前にひとつ、理解しておくべき重要な事実がある。
 
 「疲れた時は無理をせず、じっくりと身体を休める」ことが健康に良いようにも思われがちだが、ミトコンドリアを増やす=健康になる、という概念からすればこれは全く逆。身体を休めるとミトコンドリアは「エネルギーを必要としないのでは」と判断してしまい、増えていかないのである。
 
 「やり始めたばかりの時はきつく感じられた運動が、続けていくうちにだんだん楽になっていった」という経験を持っている人は多いと思うが、これこそがその証。これは身体が慣れたということではなく、ミトコンドリアが増えているということなのである。つまり運動習慣をつけることがまずは、ミトコンドリアを増やすことに繋がるということ。
 
 ただし、どんな運動でも良いわけではない。瞬発力を生む筋肉を鍛えるトレーニングではなく、持久力を生む筋肉を鍛える運動の方に限定されている。持久力を鍛えるためには有酸素運動が最も効果が高い。その有酸素運動を手軽に行えるのが自転車である。本誌はじめ多くの人が自転車を進めるのは、こうしたロジックに基づいている。
 
 おおむね人間以外の動物の寿命は体の大きさに比例しているが、そう考えると「鶴は千年」と言われるとおり、鳥の寿命は非常に長い。セキセインコなどの小鳥でも、10年を超えることは珍しいことではない。
 
渡り鳥となるとさらに、寿命は長くなるようだ。鳥はその生活のほとんどで、空を飛ぶという有酸素運動を繰り返し行い続けている。このライフスタイルが良質のミトコンドリアを多く生み出し、長生きを支えていることは言うまでもない。
 
【LIFE STYPE PLUS】(2)病気・老化の根源である活性酸素を排除する